緑内障の薬物治療の現状と今後の展望
「1. はじめに」 緑内障は, 成人における中途失明原因の第1位の網膜神経節細胞死を特徴とする進行性の神経変性疾患であり. 緑内障の40歳以上の平均有病率は約5%, 20人に1人の割合で存在するとされている(多治見スタディー). 緑内障は, 「視神経と視野に特徴的な変化を有し, 通常, 眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制し得る眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と定義されている[緑内障診療ガイドライン(第4版)]. 一方, わが国では緑内障全体のなかで眼圧が正常範囲内の正常眼圧緑内障(normal tension glaucoma; NTG)が72.0%を占め...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 141; no. 1; pp. 61 - 66 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.01.2021
日本薬学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.20-00177-5 |
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Summary: | 「1. はじめに」 緑内障は, 成人における中途失明原因の第1位の網膜神経節細胞死を特徴とする進行性の神経変性疾患であり. 緑内障の40歳以上の平均有病率は約5%, 20人に1人の割合で存在するとされている(多治見スタディー). 緑内障は, 「視神経と視野に特徴的な変化を有し, 通常, 眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制し得る眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と定義されている[緑内障診療ガイドライン(第4版)]. 一方, わが国では緑内障全体のなかで眼圧が正常範囲内の正常眼圧緑内障(normal tension glaucoma; NTG)が72.0%を占めることが明らかにされている. このように, 眼圧が正常範囲内であるにもかかわらず緑内障性視神経症が進行する患者が多く, その病態解明が求められている. その病態発症及び進行に関して, エビデンスのある唯一のリスク因子は眼圧であり, 薬物又は手術治療により眼圧を下降させることにより視野障害の進行を抑制できることが臨床研究により検証されている. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.20-00177-5 |