シート状危険ドラッグ製品中のLSD誘導体1cP-LSD, MIPLA, 1B-LSDの同定

「緒言」 Lysergic acid diethylamide[LSD(1)]は1938年に初めてHoffmanらによって麦角アルカロイドより合成された化合物であり, 幻覚作用があることが知られている. LSDは世界各国でその乱用が問題となって規制され, わが国では, 麻薬及び向精神薬取締法において, 麻薬, 麻薬原料植物, 向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令第1条の麻薬として規制されている. 近年, このLSDの構造を一部変えたLSD誘導体を成分とする危険ドラッグ製品が世界各地で検出されている. LSDの化学構造はインドールを母核としたエルゴリン骨格のlysergic acidにジエ...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 140; no. 11; pp. 1405 - 1413
Main Authors 田中, 理恵, 河村, 麻衣子, 花尻(木倉), 瑠理, 袴塚, 高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.11.2020
日本薬学会
Subjects
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.20-00124

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Summary:「緒言」 Lysergic acid diethylamide[LSD(1)]は1938年に初めてHoffmanらによって麦角アルカロイドより合成された化合物であり, 幻覚作用があることが知られている. LSDは世界各国でその乱用が問題となって規制され, わが国では, 麻薬及び向精神薬取締法において, 麻薬, 麻薬原料植物, 向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令第1条の麻薬として規制されている. 近年, このLSDの構造を一部変えたLSD誘導体を成分とする危険ドラッグ製品が世界各地で検出されている. LSDの化学構造はインドールを母核としたエルゴリン骨格のlysergic acidにジエチルアミンがアミド結合したものであるが, このN6位のメチル基をエチル基に変えたN,N,7-triethyl-4,6,6a,7,8,9-hexahydroindolo[4,3-fg]quinoline-9-carboxamide(ETH-LAD), アリル基の7-allyl-N,N-diethyl-4,6,6a,7,8,9-hexahydroindolo[4,3-fg]quinoline-9-carboxamide(AL-LAD), またN1位にアセチル基を導入した4-acetyl-N,N-diethyl-7-methyl-4,6,6a,7,8,9-hexahydroindolo[4,3-fg]quinoline-9-carboxamide(ALD-52), プロピオニル基を導入したN,N-diethyl-7-methyl-4-propionyl-4,6,6a,7,8,9-hexahydroindolo[4,3-fg]quinoline-9-carboxamide(1P-LSD)などのLSD誘導体が報告されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.20-00124