薬物の組織への効率的なデリバリー戦略構築を目指した血管内皮細胞の新たな機能探索と解明

「1. はじめに」筆者は体内での薬物の動きに魅せられ, 東北薬科大学(現 東北医科薬科大学)薬剤学教室(丹羽弘司教授)の門を叩いた. この頃, 薬剤学は黎明期から黄金期へ移る時期でもあった. 以来, 東北薬科大学(講師)に22年, 青森大学薬学部(教授)に5年, 徳島文理大学薬学部(教授)に10年間在籍し, 薬剤学教室を主宰した. 当初与えられたテーマは「病態時における薬物の体内動態の変動について」である. しかし, 薬は本来病気のときに飲むものだから, と戸惑いつつも薬理学にも興味があったので, いろいろ考えた末「病態時の生体成分の変動と薬物動態の機能変化」を中心に研究を進め, 現在まで続け...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 140; no. 1; pp. 51 - 62
Main Author 櫻井, 栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.01.2020
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」筆者は体内での薬物の動きに魅せられ, 東北薬科大学(現 東北医科薬科大学)薬剤学教室(丹羽弘司教授)の門を叩いた. この頃, 薬剤学は黎明期から黄金期へ移る時期でもあった. 以来, 東北薬科大学(講師)に22年, 青森大学薬学部(教授)に5年, 徳島文理大学薬学部(教授)に10年間在籍し, 薬剤学教室を主宰した. 当初与えられたテーマは「病態時における薬物の体内動態の変動について」である. しかし, 薬は本来病気のときに飲むものだから, と戸惑いつつも薬理学にも興味があったので, いろいろ考えた末「病態時の生体成分の変動と薬物動態の機能変化」を中心に研究を進め, 現在まで続けてきた. その過程で, 組織毛細血管の機能変化, 特に血管透過性の亢進が薬物の組織移行を高めることを, 下痢をモデルにin vivo及び組織レベルの検討から見い出し, タイトジャンクション(tight junction; TJ)の開口が薬物の組織移行の増加につながる可能性を示唆した.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.19-00179