ケタミンの即効性抗うつ作用の機序解明と新規即効性抗うつ薬候補の探索

「1. はじめに」 うつ病は, 「抑うつ気分」及び「興味・喜びの消失」を中核症状とし, 全世界の成人の5%が罹患していると推計される身近な精神疾患である. うつ病は自殺やひきこもりの要因となり深刻な社会・経済的損失をもたらしているため, その克服は重要な社会的課題である. 一方で, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor: SSRI)を始めとする「モノアミン仮説」に基づいた既存の抗うつ薬は, 抗うつ効果発現までに数週間以上の服用が必要である. また, 3割以上のうつ病患者が, モノアミン系抗うつ薬に治療抵抗性を示すことが問...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 143; no. 9; pp. 713 - 720
Main Author 出山, 諭司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.09.2023
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.23-00111

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Summary:「1. はじめに」 うつ病は, 「抑うつ気分」及び「興味・喜びの消失」を中核症状とし, 全世界の成人の5%が罹患していると推計される身近な精神疾患である. うつ病は自殺やひきこもりの要因となり深刻な社会・経済的損失をもたらしているため, その克服は重要な社会的課題である. 一方で, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor: SSRI)を始めとする「モノアミン仮説」に基づいた既存の抗うつ薬は, 抗うつ効果発現までに数週間以上の服用が必要である. また, 3割以上のうつ病患者が, モノアミン系抗うつ薬に治療抵抗性を示すことが問題となっている. そのため, 既存薬とは異なる作用機序で, 即効性かつ治療抵抗性うつ病(treatment-resistant depression: TRD)患者にも効果を示す新しい抗うつ薬の開発が求められてきた.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.23-00111