特殊アミノ酸の拡散的合成並びに生物活性環状ペプチド天然物の合成研究

「1. はじめに」近年, 低分子医薬品と抗体やタンパク質などの高分子医薬品の長所を併せ持った創薬モダリティとして, ペプチドや核酸といった分子量500-2000程度の中分子医薬品が注目を集めている. その中でも環構造を有するペプチドは, 側鎖の配座自由度が減少し, 標的タンパクとの特異的結合やペプチダーゼ耐性が期待できる. さらに, N-アルキルアミドや疎水性の特殊アミノ酸を多数有することで膜透過性が向上し, 細胞内タンパクの標的を可能とすることから, Lipinsikiによって提唱されているrule of fiveから逸脱しているにもかかわらず創薬研究における魅力的なシード化合物群である....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 143; no. 7; pp. 551 - 557
Main Author 大澤, 宏祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.07.2023
日本薬学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.23-00088

Cover

More Information
Summary:「1. はじめに」近年, 低分子医薬品と抗体やタンパク質などの高分子医薬品の長所を併せ持った創薬モダリティとして, ペプチドや核酸といった分子量500-2000程度の中分子医薬品が注目を集めている. その中でも環構造を有するペプチドは, 側鎖の配座自由度が減少し, 標的タンパクとの特異的結合やペプチダーゼ耐性が期待できる. さらに, N-アルキルアミドや疎水性の特殊アミノ酸を多数有することで膜透過性が向上し, 細胞内タンパクの標的を可能とすることから, Lipinsikiによって提唱されているrule of fiveから逸脱しているにもかかわらず創薬研究における魅力的なシード化合物群である. 実際, 免疫抑制剤であるシクロスポリンA(1)や抗生物質であるバンコマイシン(2)といった中分子ペプチド天然物が治療薬として使用されている. 培養・単離技術の発達により, バンコマイシン耐性菌に対しても抗菌活性を有するスタロバシンI(3)など, 興味深い構造及び生物活性を持つペプチド天然物が現在でも多数発見されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.23-00088