抗菌薬適正使用支援チームのカルバペネム系薬適正使用ラウンドによる処方動向の変化と緑膿菌耐性率への影響に関する検討

「緒言」カルバペネム系薬は広域スペクトルを有する抗菌薬であり, その有効性及び安全性の高さから主に緑膿菌を標的とした重症感染症の治療薬として用いられる. 一方で使用量と耐性緑膿菌の分離率との間に正の相関関係を示すことが報告されており, 薬剤耐性対策の観点から適正使用が強く求められる薬剤である. 抗菌薬適正使用を医療機関で推進するために, 抗菌薬適正使用支援チーム(antimicrobial stewardship team;AST)は, カルバペネム系薬を含む広域抗菌薬の早期モニタリングとフィードバックによる処方への介入を実施することが強く推奨されている. ASTには抗菌薬処方を速やかに把握し...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 142; no. 5; pp. 527 - 534
Main Authors 内藤, 結花, 前田, 真之, 長友, 安弘, 宇賀神, 和久, 秋間, 悦子, 田中, 道子, 時松, 一成, 佐々木, 忠徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.05.2022
日本薬学会
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Summary:「緒言」カルバペネム系薬は広域スペクトルを有する抗菌薬であり, その有効性及び安全性の高さから主に緑膿菌を標的とした重症感染症の治療薬として用いられる. 一方で使用量と耐性緑膿菌の分離率との間に正の相関関係を示すことが報告されており, 薬剤耐性対策の観点から適正使用が強く求められる薬剤である. 抗菌薬適正使用を医療機関で推進するために, 抗菌薬適正使用支援チーム(antimicrobial stewardship team;AST)は, カルバペネム系薬を含む広域抗菌薬の早期モニタリングとフィードバックによる処方への介入を実施することが強く推奨されている. ASTには抗菌薬処方を速やかに把握し, 必要に応じて主治医に対して適正使用に関する助言を行うことが求められる. そのアプローチ方法の1つとして, 病態の評価と原因微生物の同定及び感受性結果に基づき広域抗菌薬から狭域抗菌薬へ変更するde-escalation(DE)の推進がある.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.21-00202