非イオン性ヨード造影剤によるアレルギー様症状の有害事象に及ぼす水分摂取の影響

「緒言」近年, 非イオン性低浸透圧性ヨード造影剤の使用頻度が高まっている. 非イオン性ヨード造影剤はイオン性ヨード造影剤と比較し, 有害反応が有意に低下することがメタアナリシスによって明らかにされており, 造影CTや血管造影では不可欠な薬剤となっている. 造影CTでは, 正常組織・臓器とのX線透過率の差によるコントラストの相違から腫瘍の存在の有無や腫瘍の栄養血管や臓器の支配血管が明瞭となり, 造影剤を使用しない単純CTと比べ, より正確な診断を可能にしている. 一方, 造影剤はときに悪心・嘔吐等の消化器症状や, 掻痒感・膨隆疹等の皮膚症状, くしゃみ・咳嗽等の呼吸器症状をきたす場合がある. 特...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 135; no. 10; pp. 1177 - 1184
Main Authors 元井, 玲子, 矢野, 育子, 尾崎, 淳子, 鋒山, 香苗, 山本, 崇, 深津, 祥央, 石塚, 良子, 松村, 由美, 谷口, 正洋, 東村, 享治, 松原, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.10.2015
日本薬学会
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Summary:「緒言」近年, 非イオン性低浸透圧性ヨード造影剤の使用頻度が高まっている. 非イオン性ヨード造影剤はイオン性ヨード造影剤と比較し, 有害反応が有意に低下することがメタアナリシスによって明らかにされており, 造影CTや血管造影では不可欠な薬剤となっている. 造影CTでは, 正常組織・臓器とのX線透過率の差によるコントラストの相違から腫瘍の存在の有無や腫瘍の栄養血管や臓器の支配血管が明瞭となり, 造影剤を使用しない単純CTと比べ, より正確な診断を可能にしている. 一方, 造影剤はときに悪心・嘔吐等の消化器症状や, 掻痒感・膨隆疹等の皮膚症状, くしゃみ・咳嗽等の呼吸器症状をきたす場合がある. 特に予期せぬアナフィラキシー等の重篤な症状が出た場合は非常に危険である. そのため, ヨード造影剤に過敏症の既往歴のある患者は添付文書において禁忌であるが, 特別に使用する場合にあっては, 少なくとも使用された造影剤とは異なる造影剤を使用する傾向にある.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.15-00111