Dictyodendrin類の多様性志向型全合成

「1. はじめに」 天然有機化合物は様々な生物活性を有することから, 創薬研究や生命現象の解析において重要な役割を担ってきた. また, これら天然物をリードとして誘導体を設計することで, 本来の天然物より優れた生物活性化合物が取得されてきた. 天然物誘導体の合成には, 天然物の誘導化(半合成)と全合成が用いられる. 天然物の誘導化は, 天然物の入手容易性が高い場合に限られるだけでなく, 合成展開における構造的な制約が大きい欠点を有するため, 高度に官能基化された天然物の構造活性相関研究は十分に実施されていないことが多い. 一方, 1つ1つの誘導体を全合成するのは大きな労力が必要となる. そのた...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 140; no. 11; pp. 1313 - 1322
Main Author 松岡, 純平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.11.2020
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」 天然有機化合物は様々な生物活性を有することから, 創薬研究や生命現象の解析において重要な役割を担ってきた. また, これら天然物をリードとして誘導体を設計することで, 本来の天然物より優れた生物活性化合物が取得されてきた. 天然物誘導体の合成には, 天然物の誘導化(半合成)と全合成が用いられる. 天然物の誘導化は, 天然物の入手容易性が高い場合に限られるだけでなく, 合成展開における構造的な制約が大きい欠点を有するため, 高度に官能基化された天然物の構造活性相関研究は十分に実施されていないことが多い. 一方, 1つ1つの誘導体を全合成するのは大きな労力が必要となる. そのため, 複雑な構造を有する天然物の構造活性相関研究を効率的に行う戦略として, 多様性志向型全合成が注目されている. この戦略は共通中間体に対して置換基を導入することにより, 多様な天然物類縁体を合成できる点で有用である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.20-00162