新規小分子ラベル法とin-cell FRETを用いた膜タンパク質の会合状態の定量的解析
「1. はじめに」 細胞膜上に発現する膜タンパク質は, 生体でのシグナル伝達やイオン透過などの機能を担っており, 生命を維持する上で欠かせない役割を果たしている. その挙動は複雑な脂質組成を持つ膜環境中でダイナミックに変化するため, 生体膜中でリアルタイムに測定する手法が望まれている. 近年の研究により, 膜タンパク質の機能は構造変化だけでなく, 会合状態によっても調整され得ると報告されているため, 会合状態を明らかにすることは創薬上重要な課題となっている. 現在, タンパク質間の相互作用を研究する上で汎用されている手法は, 破壊的測定法と非破壊的測定法に大別することができる. 前者の代表例と...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 134; no. 9; pp. 931 - 937 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.09.2014
日本薬学会 |
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Summary: | 「1. はじめに」 細胞膜上に発現する膜タンパク質は, 生体でのシグナル伝達やイオン透過などの機能を担っており, 生命を維持する上で欠かせない役割を果たしている. その挙動は複雑な脂質組成を持つ膜環境中でダイナミックに変化するため, 生体膜中でリアルタイムに測定する手法が望まれている. 近年の研究により, 膜タンパク質の機能は構造変化だけでなく, 会合状態によっても調整され得ると報告されているため, 会合状態を明らかにすることは創薬上重要な課題となっている. 現在, タンパク質間の相互作用を研究する上で汎用されている手法は, 破壊的測定法と非破壊的測定法に大別することができる. 前者の代表例として共免疫沈降法などが挙げられる. この手法は, 組織や細胞の溶解液に, 目的タンパク質特異的な抗体とプロテインA標識アガロースビーズを添加して目的タンパク質を沈降させた後, ウェスタンブロットにより相互作用相手を検出するものである. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.14-00162 |