頸部腫瘤を契機に判明した梅毒の2例

梅毒は Treponema pallidum によって引き起こされる性感染症である. 口腔咽頭領域の梅毒病変は特徴的であり, 医療者側に知識があれば比較的容易に鑑別できるとされている. しかし, 中には典型的な所見を欠く症例も存在する. 特に, 抗菌薬が既に投与されている場合には診断に至らず無症候梅毒に移行し, 感染拡大の要因となることが懸念されている. 今回われわれは頸部腫瘤を主訴に受診した2例の梅毒を経験した. 2例とも典型的な粘膜病変を欠いていた. 本邦では2013年以降梅毒患者が急増しており, 梅毒は決して過去の疾患ではない. われわれ耳鼻咽喉科医は頸部腫瘤の鑑別に梅毒性リンパ節炎を挙...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 122; no. 5; pp. 770 - 776
Main Authors 秋定, 直樹, 石原, 久司, 藤澤, 郁, 竹内, 彩子, 赤木, 成子, 山口, 麻里, 妹尾, 明美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.05.2019
日本耳鼻咽喉科学会
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Summary:梅毒は Treponema pallidum によって引き起こされる性感染症である. 口腔咽頭領域の梅毒病変は特徴的であり, 医療者側に知識があれば比較的容易に鑑別できるとされている. しかし, 中には典型的な所見を欠く症例も存在する. 特に, 抗菌薬が既に投与されている場合には診断に至らず無症候梅毒に移行し, 感染拡大の要因となることが懸念されている. 今回われわれは頸部腫瘤を主訴に受診した2例の梅毒を経験した. 2例とも典型的な粘膜病変を欠いていた. 本邦では2013年以降梅毒患者が急増しており, 梅毒は決して過去の疾患ではない. われわれ耳鼻咽喉科医は頸部腫瘤の鑑別に梅毒性リンパ節炎を挙げる必要がある.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.122.770