狭窄型虚血性小腸炎の1例
「I はじめに」 虚血性腸炎は主幹動脈に閉塞を伴わない可逆性, 一過性の虚血性疾患である. 小腸は側副血行路が発達し虚血性病変は稀とされている. 虚血性小腸炎として検索しえた本邦報告例は, 79例であった. 虚血性小腸炎は, 高血圧, 糖尿病, 虚血性心疾患, 脳梗塞の合併が多いことから, 動脈硬化が誘因と考えられている. 臨床経過において急性病変が見逃されやすく, 観察が困難なこともあり, 狭窄型にいたる過程については, 明確でない. 今回我々は, 狭窄症状が出現した虚血性小腸炎を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 「II 症例」 患者: 78歳, 男性. 主訴: 嘔吐, 腹...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 60; no. 6; pp. 365 - 370 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
10.12.2012
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Subjects | |
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ISSN | 0037-3826 1884-6580 |
DOI | 10.11441/shinshumedj.60.365 |
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Summary: | 「I はじめに」 虚血性腸炎は主幹動脈に閉塞を伴わない可逆性, 一過性の虚血性疾患である. 小腸は側副血行路が発達し虚血性病変は稀とされている. 虚血性小腸炎として検索しえた本邦報告例は, 79例であった. 虚血性小腸炎は, 高血圧, 糖尿病, 虚血性心疾患, 脳梗塞の合併が多いことから, 動脈硬化が誘因と考えられている. 臨床経過において急性病変が見逃されやすく, 観察が困難なこともあり, 狭窄型にいたる過程については, 明確でない. 今回我々は, 狭窄症状が出現した虚血性小腸炎を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 「II 症例」 患者: 78歳, 男性. 主訴: 嘔吐, 腹痛, 腹部膨満, 発熱. 既往歴: 高血圧症, 糖尿病, 心房細動, 30歳虫垂切除術. 40歳肺膿瘍(詳細不明)にて右開胸手術. 現病歴: 3日前より発熱, 腹痛, 嘔吐出現し, 近医を受診した. 軽快せず, 当科紹介となった. |
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ISSN: | 0037-3826 1884-6580 |
DOI: | 10.11441/shinshumedj.60.365 |