がん支持療法としての口腔機能管理の有効性

「I はじめに」日本人の死因の第一位である「がん」は, 手術, 化学療法, 放射線治療などの治療法の進歩により治療成績が改善してきているが, がん治療の完遂のためには, その治療に関連して生じる有害事象のコントロールも重要である. がん治療に際しては様々な口腔合併症が発症する. また, 近年のがん治療の進歩により口腔有害事象の頻度, 病態, 重症度が変化してきている. 口腔有害事象には急性期有害事象と晩期有害事象があり, 急性期有害事象としては, 粘膜炎, 感染症, 唾液や知覚神経の変化がある. 晩期有害事象には知覚神経障害に関連し唾液分泌, 味覚などの機能的変化, 齲蝕の多発, 口腔および歯...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 67; no. 5; pp. 279 - 288
Main Author 山田, 慎一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.10.2019
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.67.279

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Summary:「I はじめに」日本人の死因の第一位である「がん」は, 手術, 化学療法, 放射線治療などの治療法の進歩により治療成績が改善してきているが, がん治療の完遂のためには, その治療に関連して生じる有害事象のコントロールも重要である. がん治療に際しては様々な口腔合併症が発症する. また, 近年のがん治療の進歩により口腔有害事象の頻度, 病態, 重症度が変化してきている. 口腔有害事象には急性期有害事象と晩期有害事象があり, 急性期有害事象としては, 粘膜炎, 感染症, 唾液や知覚神経の変化がある. 晩期有害事象には知覚神経障害に関連し唾液分泌, 味覚などの機能的変化, 齲蝕の多発, 口腔および歯性感染症, 顎骨壊死, 移植片対宿主病(graft versus host disease : GVHD)などがある. これらの晩期有害事象は, 治療の進歩に伴う生存率の改善もあり, がんサバイバーの生活の質(Quality of life : QOL)に大きな影響を与えることとなる.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.67.279