幼少期に誤飲し長期間腸管内に停留したスプーンが原因となった小腸穿孔の1例

「I はじめに」 消化管異物は比較的多く遭遇する疾患であるが, 異物の内容や引き起こされる症状, 治療法は多岐にわたる. 今回我々は, 精神疾患のない女性が自覚なく幼少期にスプーンを誤飲し, 長期間腸管内に停留した後に十二指腸穿通, 肝膿瘍, 空腸穿孔, 穿孔性腹膜炎を発症したと考えられた症例を経験したので報告する. 「II 症例」 患者: 37歳, 女性. 主訴: 右下腹部痛. 既往歴: 特記事項なし. 喫煙歴: なし. 飲酒歴: 機会飲酒. 現病歴: 数か月前に突然上腹部痛を自覚し, その後慢性的に消長を繰り返していた. 受診当日の朝から強い右下腹部が出現したため当院総合診療科を受診した....

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Published in信州医学雑誌 Vol. 68; no. 5; pp. 243 - 248
Main Authors 吉澤, 隆裕, 清水, 文彰, 鈴木, 史恭, 横山, 隆秀, 横井, 謙太, 森川, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.10.2020
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.68.243

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Summary:「I はじめに」 消化管異物は比較的多く遭遇する疾患であるが, 異物の内容や引き起こされる症状, 治療法は多岐にわたる. 今回我々は, 精神疾患のない女性が自覚なく幼少期にスプーンを誤飲し, 長期間腸管内に停留した後に十二指腸穿通, 肝膿瘍, 空腸穿孔, 穿孔性腹膜炎を発症したと考えられた症例を経験したので報告する. 「II 症例」 患者: 37歳, 女性. 主訴: 右下腹部痛. 既往歴: 特記事項なし. 喫煙歴: なし. 飲酒歴: 機会飲酒. 現病歴: 数か月前に突然上腹部痛を自覚し, その後慢性的に消長を繰り返していた. 受診当日の朝から強い右下腹部が出現したため当院総合診療科を受診した. 初診時現症: 身長160cm, 体重42kg, 体温37.9℃, 血圧112/76mmHg, 脈拍101回/分, SpO2 100%(room air). 右下腹部に強い圧痛および反跳圧痛を認めたが, 筋性防御は認めなかった. 腹部は全体に膨満していた.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.68.243