肝芽腫に対する二施設間連携による集学的治療

「I はじめに」肝芽腫とは小児悪性固形腫瘍の中で神経芽腫, 腎芽腫についで3番目に多い腫瘍疾患である. 小児の肝臓に発生する悪性腫瘍の中では最も多いが, 国内で年間30~50例と非常に稀な疾患である. 治療前の腫瘍進展度の評価にはPRETEXT(Pre Treatment Extent of Tumor)分類が用いられ, 腫瘍が1つの肝区域にのみ存在し, 隣接する他の3区域には存在しないものをPRETEXT I, 腫瘍が1~2区域に存在し, 隣接する2区域には存在しないものものをIIと定義する. さらに肝外性因子として, 脈管との位置関係や転移等を付記してリスク分類を行い, 術前術後の化学療法...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 69; no. 2; pp. 83 - 87
Main Authors 大野, 康成, 増田, 雄一, 吉澤, 一貴, 坂下, 一夫, 本郷, 悠太, 三田, 篤義, 内田, 恵理子, 小森, 一寿, 副島, 雄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.04.2021
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.69.83

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Summary:「I はじめに」肝芽腫とは小児悪性固形腫瘍の中で神経芽腫, 腎芽腫についで3番目に多い腫瘍疾患である. 小児の肝臓に発生する悪性腫瘍の中では最も多いが, 国内で年間30~50例と非常に稀な疾患である. 治療前の腫瘍進展度の評価にはPRETEXT(Pre Treatment Extent of Tumor)分類が用いられ, 腫瘍が1つの肝区域にのみ存在し, 隣接する他の3区域には存在しないものをPRETEXT I, 腫瘍が1~2区域に存在し, 隣接する2区域には存在しないものものをIIと定義する. さらに肝外性因子として, 脈管との位置関係や転移等を付記してリスク分類を行い, 術前術後の化学療法と手術療法を組み合わせることにより治療成績が向上することが知られており, ほぼすべての症例で, 手術と化学療法による集学的治療が行われる. 肝芽腫の症例数は長野県内では年間1例程度と非常に少なく, 化学療法を行う施設は限られており, 当院では行っていない.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.69.83