子宮筋腫に対する腹腔鏡下子宮全摘術における術野確保の工夫:牽引糸法
「I 序説」 子宮筋腫は腫瘍細胞が増生し, 球状の腫瘤を形成した良性の平滑筋腫瘍で, 生殖年齢の女性に最も多くみられる疾患で, 30歳以上の約3割に認められる. 腫瘍径10cm以上と巨大になる場合も珍しくなく, 過多月経, 月経困難, 不妊, 頻尿や排尿困難などの症状を示すことがある. 治療では, ゴナドトロピン放出ホルモン(Gonadotropin releasing hormone, GnRH)作動薬や拮抗薬などの薬物療法(偽閉経療法)により, 貧血の改善と子宮筋腫縮小が得られるが, 休薬後すぐに薬物療法前の大きさ・症状に復することから, 症状が強い場合には手術療法が中心となる. 手術では...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 169 - 176 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
10.06.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0037-3826 1884-6580 |
DOI | 10.11441/shinshumedj.70.169 |
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Summary: | 「I 序説」 子宮筋腫は腫瘍細胞が増生し, 球状の腫瘤を形成した良性の平滑筋腫瘍で, 生殖年齢の女性に最も多くみられる疾患で, 30歳以上の約3割に認められる. 腫瘍径10cm以上と巨大になる場合も珍しくなく, 過多月経, 月経困難, 不妊, 頻尿や排尿困難などの症状を示すことがある. 治療では, ゴナドトロピン放出ホルモン(Gonadotropin releasing hormone, GnRH)作動薬や拮抗薬などの薬物療法(偽閉経療法)により, 貧血の改善と子宮筋腫縮小が得られるが, 休薬後すぐに薬物療法前の大きさ・症状に復することから, 症状が強い場合には手術療法が中心となる. 手術では, 開腹術から, より侵襲の少ない腹腔鏡下手術が主流になりつつあり, 機器の精度向上に伴い, 手術難易度の高い症例にも適用可能になってきている. 当院においても, 以前は開腹術を選択していた巨大な筋腫や子宮下部筋腫, 子宮広間膜内発育筋腫例に対しても, 積極的に腹腔鏡下手術を行っている. |
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ISSN: | 0037-3826 1884-6580 |
DOI: | 10.11441/shinshumedj.70.169 |