介護老人福祉施設における口腔摂食機能評価ツールの導入とその効果

「I 緒言」「食べること」は, 自立した豊かな生活を送るための人として最も基本となる機能である. 食べる機能(口腔, 摂食, 嚥下機能)を維持, 改善することや, 栄養に気を配ることにより, わたしたちの健康寿命を左右する多くの因子(フレイル, ロコモティブシンドローム, メタボリックシンドローム)を予防することが可能となり, それにより健康な状態を長く営むことができると考えられる. 加齢に伴って全身の筋肉が衰えるとともに, 口腔摂食機能もまた衰えていく. そして, 軟らかいものに偏った食事や摂食量の低下は, 低栄養, 筋力および運動機能の低下を招きがちである. 口腔摂食機能がさらに低下すると...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 70; no. 1; pp. 19 - 27
Main Authors 佐藤, 悟, 関口, 健二, 近藤, 英司, 荒川, 裕子, 藤巻, 佳織, 中原, 里美, 鈴木, 滋, 藤巻, 秀卓, 栗田, 浩, 小山, 吉人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.02.2022
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.70.19

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Summary:「I 緒言」「食べること」は, 自立した豊かな生活を送るための人として最も基本となる機能である. 食べる機能(口腔, 摂食, 嚥下機能)を維持, 改善することや, 栄養に気を配ることにより, わたしたちの健康寿命を左右する多くの因子(フレイル, ロコモティブシンドローム, メタボリックシンドローム)を予防することが可能となり, それにより健康な状態を長く営むことができると考えられる. 加齢に伴って全身の筋肉が衰えるとともに, 口腔摂食機能もまた衰えていく. そして, 軟らかいものに偏った食事や摂食量の低下は, 低栄養, 筋力および運動機能の低下を招きがちである. 口腔摂食機能がさらに低下すると最終的には誤嚥性肺炎や窒息といった生命の危険に直結する事態に至ることがある. また, 食事や会話が意欲的に行えなくなると家に閉じこもる生活が続くようになり, 精神面および社会性の低下につながる. これらは健康寿命延伸の目的と解離してしまう. 高齢者に対する医療および保健政策には, 口腔および摂食嚥下機能を取り入れた対策は必須である.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.70.19