ブラウンラチェットを介する力の受容器ラメリポディア
「1. ラメリポディア : 特異な形態と高密度アクチン」ラメリポディア (葉状仮足) は, 細胞の辺縁から基質に沿って, あるいは背面から上向きに形成されるベール状の突起である. 幅広い種類の動物細胞に普遍的に存在する. 特筆すべきはその薄さで, 厚みは176nmしかない. その内部には, 1000μMもの高密度のアクチン分子からなる線維ネットワークが形成され, ほぼ一体となって, 絶え間なく細胞中心に向かって流動する. アクチン分子は重合するたびにATP1分子を加水分解する. そのため先端で線維を生成し続けるために大量のATPが消費される. 加えてラメリポディア内部でも毎秒3%の線維が重合・...
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Published in | 生物物理 Vol. 63; no. 3; pp. 143 - 147 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2023
日本生物物理学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.63.143 |
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Summary: | 「1. ラメリポディア : 特異な形態と高密度アクチン」ラメリポディア (葉状仮足) は, 細胞の辺縁から基質に沿って, あるいは背面から上向きに形成されるベール状の突起である. 幅広い種類の動物細胞に普遍的に存在する. 特筆すべきはその薄さで, 厚みは176nmしかない. その内部には, 1000μMもの高密度のアクチン分子からなる線維ネットワークが形成され, ほぼ一体となって, 絶え間なく細胞中心に向かって流動する. アクチン分子は重合するたびにATP1分子を加水分解する. そのため先端で線維を生成し続けるために大量のATPが消費される. 加えてラメリポディア内部でも毎秒3%の線維が重合・脱重合で入れ換わる. 局所濃度として50μM近いATPが毎秒消費される. この盛んなATP消費は, 何に役だつのだろうか. 因みに, 「ラメリポディア」という言葉は, 1970年Abercrombieらによって "for future discussion (将来の議論のために)" 命名された. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.63.143 |