順天堂医院において血液・血管カテーテルから真菌を検出した症例の臨床的検討

目的: 順天堂医院において1994年から2003年の10年間に, 血液および血管カテーテルから真菌を検出した症例について患者背景, 菌種, カテーテル留置の有無, 治療, 予後について検討した. 対象と方法: 10年間に血液および血管カテーテルから真菌を検出した203名のうち, コンタミネーションと考えられる症例34名を除外した169名, 176エピソードについて臨床経過をレトロスペクティブに調査検討した. また, 真菌血症の死亡に関連するリスクファクターについてFisherの正確検定を用いて統計学的検討を行った.結果と結論: 症例は男性に多く (69.3%), 年齢は50歳以上が81.2%で...

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Published in順天堂医学 Vol. 57; no. 6; pp. 630 - 637
Main Authors 森, 健, 山本, 由子, 小栗, 豊子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2011
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.57.630

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Summary:目的: 順天堂医院において1994年から2003年の10年間に, 血液および血管カテーテルから真菌を検出した症例について患者背景, 菌種, カテーテル留置の有無, 治療, 予後について検討した. 対象と方法: 10年間に血液および血管カテーテルから真菌を検出した203名のうち, コンタミネーションと考えられる症例34名を除外した169名, 176エピソードについて臨床経過をレトロスペクティブに調査検討した. また, 真菌血症の死亡に関連するリスクファクターについてFisherの正確検定を用いて統計学的検討を行った.結果と結論: 症例は男性に多く (69.3%), 年齢は50歳以上が81.2%で大多数を占めていた. 基礎疾患は悪性腫瘍が多く, なかでも食道癌が悪性腫瘍の26.3%を占めて最も多かった. 検出菌種はCandida albicansが66例 (37.5%) で最多であったが, 従来の報告と比較してC. parapsilosisの検出率が高かった. 死亡に関与するリスクファクターとしては, (1) 抗生剤投与中, (2) 検出菌がC. albicansであること, (3) 人工呼吸器管理下であることがあげられた. Trichosporon属の検出がCandida属に次いで多く, トリコスポロン症の発症にも注意が必要であると考えられた.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.57.630