水中での血流制限を伴う筋力トレーニングが生体に及ぼす影響

  血流制限を伴う筋力トレーニングは,低負荷強度にて成長ホルモンの分泌が起こり,筋肥大や筋力増加が得られるとされ,高齢者や有疾患者への臨床応用が期待されている.しかし,実施環境は陸上に限られ,水中で行った際の循環動態や成長ホルモン分泌動向については不明確である.そこで,水中での血流制限を伴う筋力トレーニングにおける,循環動態および血漿GHレベルの動向を探った.対象は健常大学生12名とし,利き手上肢のみを浸水させる局所群と剣状突起まで浸水する全身群に分けた.両群とも,上腕基部を加圧し浸水した状態で肩の屈伸運動を10分間行った.加圧量は両群それぞれ0 mmHg,50 mmHgの2条件にて行った.測...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 84; no. 2; pp. 59 - 64
Main Authors 武田, 淳史, 河野, 洋志, 近藤, 照彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 31.05.2021
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki.2338

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Summary:  血流制限を伴う筋力トレーニングは,低負荷強度にて成長ホルモンの分泌が起こり,筋肥大や筋力増加が得られるとされ,高齢者や有疾患者への臨床応用が期待されている.しかし,実施環境は陸上に限られ,水中で行った際の循環動態や成長ホルモン分泌動向については不明確である.そこで,水中での血流制限を伴う筋力トレーニングにおける,循環動態および血漿GHレベルの動向を探った.対象は健常大学生12名とし,利き手上肢のみを浸水させる局所群と剣状突起まで浸水する全身群に分けた.両群とも,上腕基部を加圧し浸水した状態で肩の屈伸運動を10分間行った.加圧量は両群それぞれ0 mmHg,50 mmHgの2条件にて行った.測定項目は循環動態項目として心拍数,収縮期血圧,拡張期血圧を,採血項目として血漿GHレベルを測定した.結果として水中での血流制限筋力トレーニングは,50 mmHg条件にてGHが分泌されることが明らかになった.また,局所的に浸水をさせて筋力トレーニングを行うことで,その部位は圧を加えなくても,GHの分泌が有意に高値を示した.一方,循環動態項目においては,いずれも有意な差は認められなかった.以上のことより,血流制限筋力トレーニングは加圧量に加え,浸水部分の影響を受けることが示唆された.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki.2338