生活環境における銀曝露とその健康影響
「1. はじめに」銀と人類との係わりは紀元前3000年前に遡るが, 現在に至るまで, 装飾品・食器などの極めて身近なツールとして利用されてきているほか, 電気および熱伝導率また可視光線の反射率特性を利用したパソコンの半導体やテレビ, 携帯電話の液晶画面の素材など, 銀の用途は多岐に渡る. その一方で, 近年多用されている銀ナノ粒子は, 健康リスクが懸念される材料としても国際的に注目を浴びるようになった. 実際に産業で用いられている銀が, 環境中にどのような化学形態および形状で放出され, あるいは存在し, ヒトの健康に影響を与えているのかについては不明な点が多い. ここでは, これまでの銀や銀ナ...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 383 - 389 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2012
日本衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.67.383 |
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Summary: | 「1. はじめに」銀と人類との係わりは紀元前3000年前に遡るが, 現在に至るまで, 装飾品・食器などの極めて身近なツールとして利用されてきているほか, 電気および熱伝導率また可視光線の反射率特性を利用したパソコンの半導体やテレビ, 携帯電話の液晶画面の素材など, 銀の用途は多岐に渡る. その一方で, 近年多用されている銀ナノ粒子は, 健康リスクが懸念される材料としても国際的に注目を浴びるようになった. 実際に産業で用いられている銀が, 環境中にどのような化学形態および形状で放出され, あるいは存在し, ヒトの健康に影響を与えているのかについては不明な点が多い. ここでは, これまでの銀や銀ナノ粒子に関する毒性学的知見を紹介しながら, 筆者らが行っている銀イオンと銀ナノ粒子を曝露した細胞における研究を紹介する. 「2. ナノリスクが懸念される材料としての銀の規制」ナノマテリアルは我々の生活に大きな利益をもたらすことが期待されているが, 環境リスクという観点からは不明の点が多く, 近年各国で使用の規制をする動きが出ている. |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.67.383 |