腹腔鏡下胆嚢摘出術後に偶発的に診断されたIntracystic Papillary Neoplasmの1例

症例は83歳の男性で,心窩部痛を主訴に当院を受診した.精査の結果,胆石性膵炎と診断され,経乳頭的に胆管チューブが留置された後に,遺残胆嚢結石に対して待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行された.術中所見では,Calot三角や胆嚢頚部を中心とした組織硬化を認めたため,胆嚢底部からの肝床部剥離を先行した後に胆嚢動脈,胆嚢管を処理し,胆嚢を摘出した.摘出標本の肉眼所見では,胆嚢体部に長径13 mm大の乳頭状隆起性病変が指摘され,病理組織学的には異型の乏しい胆嚢上皮の乳頭状増生を認めたため,intracystic papillary neoplasm(ICPN)と診断した.ICPNはintraductal...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 71; no. 2; pp. 147 - 152
Main Authors 木村, 聡大, 鈴木, 貴友, 野渡, 剛之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2021
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Summary:症例は83歳の男性で,心窩部痛を主訴に当院を受診した.精査の結果,胆石性膵炎と診断され,経乳頭的に胆管チューブが留置された後に,遺残胆嚢結石に対して待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行された.術中所見では,Calot三角や胆嚢頚部を中心とした組織硬化を認めたため,胆嚢底部からの肝床部剥離を先行した後に胆嚢動脈,胆嚢管を処理し,胆嚢を摘出した.摘出標本の肉眼所見では,胆嚢体部に長径13 mm大の乳頭状隆起性病変が指摘され,病理組織学的には異型の乏しい胆嚢上皮の乳頭状増生を認めたため,intracystic papillary neoplasm(ICPN)と診断した.ICPNはintraductal papillary neoplasm of bile ductの胆嚢内病変と考えられており,その疾患概念の認知度は低く報告例も限られている.また,前癌病変であるが故に,その多くは癌と併存して診断される.本症例のように偶発的に診断され,更には癌が併存しない例は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.71.147