過疎地域の医療機関における包括的な地域医療実習の導入

地域の医師不足,総合診療や地域包括ケアの重要性の高まりなどを背景に,医学教育における地域医療実習の拡充が求められている.山口大学医学部では医学科3年生を対象に,主に過疎地域やへき地の小規模病院あるいは診療所において2日間にわたる実習を行う「地域包括医療修学実習」を開始した.平成22年度より選択制で始め,平成24年度には必修化された.実習目的の明確化,自己紹介文の作成,患者や医療従事者へのインタビューの実施など,実習の効果を高める工夫を行った.また,関連する講義の実施や実習前の説明によって,学生のモチベーションと態度の向上を図った.平成26年度に行った学生への実習後アンケートでは,ほとんどの学生...

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Published in山口医学 Vol. 64; no. 1; pp. 25 - 34
Main Authors 安部, 真彰, 福田, 吉治, 原田, 唯成, 中村, 浩士, 瀬川, 誠, 田口, 昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 01.02.2015
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.64.25

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Summary:地域の医師不足,総合診療や地域包括ケアの重要性の高まりなどを背景に,医学教育における地域医療実習の拡充が求められている.山口大学医学部では医学科3年生を対象に,主に過疎地域やへき地の小規模病院あるいは診療所において2日間にわたる実習を行う「地域包括医療修学実習」を開始した.平成22年度より選択制で始め,平成24年度には必修化された.実習目的の明確化,自己紹介文の作成,患者や医療従事者へのインタビューの実施など,実習の効果を高める工夫を行った.また,関連する講義の実施や実習前の説明によって,学生のモチベーションと態度の向上を図った.平成26年度に行った学生への実習後アンケートでは,ほとんどの学生が,大学での学習意欲の向上,医師として働くことの動機づけ,ロールモデルの発見などに対して効果があったと回答した.本実習は,学生が地域医療を体験することで,期待された効果を得ることができた.ただし,山口県の医師確保などへの効果は明らかではなく,中長期的な効果の評価と継続的な内容の改善が今後の課題である.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.64.25