難治性多発性骨髄腫に対するサリドマイド療法の検討

標準的治療の無効であった15例の難治性多発性骨髄腫に対してサリドマイド療法を行い,評価可能な13例で治療効果と副作用につき検討した.partial response (PR) 以上の奏効例は5例で,奏効率は38.5%であった.complete response (CR) に至った症例はなかった.サリドマイドの副作用は少なく,grade1の便秘が1例,grade2の皮疹が1例,grade2の末梢神経障害が1例のみにみられ,grade3以上の重篤なものはなかった.奏効群に骨髄腫によらない3例の死亡があったが,サリドマイドとの関連は考えにくかった.また,奏効群では治療後にMタンパクの減少とMタンパク...

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Published in山口医学 Vol. 58; no. 3; pp. 97 - 103
Main Authors 高橋, 徹, 秋山, 優, 畑尾, 克裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2009
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Summary:標準的治療の無効であった15例の難治性多発性骨髄腫に対してサリドマイド療法を行い,評価可能な13例で治療効果と副作用につき検討した.partial response (PR) 以上の奏効例は5例で,奏効率は38.5%であった.complete response (CR) に至った症例はなかった.サリドマイドの副作用は少なく,grade1の便秘が1例,grade2の皮疹が1例,grade2の末梢神経障害が1例のみにみられ,grade3以上の重篤なものはなかった.奏効群に骨髄腫によらない3例の死亡があったが,サリドマイドとの関連は考えにくかった.また,奏効群では治療後にMタンパクの減少とMタンパク以外の免疫グロブリン分画の増加がみられ,サリドマイド療法は過剰な免疫抑制を来さない治療である可能性が示唆された.今回の検討からも,サリドマイド療法は副作用も少なく,難治性骨髄腫において有用な救援療法であることが考えられた.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.58.97