急性末梢性前庭障害として対応後に判明した Bow hunter 症候群の1例

「はじめに」Bow hunter症候群(BHS)は頸部捻転を契機に椎骨脳底動脈領域の循環不全が起こり, めまいや意識障害, 感覚障害などを来す病態である. 1978年にSorensenによって報告されて以来, 本邦でも脳神経外科領域を中心に報告が散見されるが, 比較的稀な疾患である. 今回, 当科で当初前庭神経炎として対応したものの, 後にBHSと判明した1例を経験したため, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」症例:79歳, 女性 主訴:浮動性めまい 現病歴:庭掃除中に頭部を左側へ向けた際, 浮動性めまいを自覚し, 臥位安静にて様子をみていたが翌日嘔吐し当院救急科を受診した. 急性期の中枢...

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Published inEquilibrium Research Vol. 81; no. 6; pp. 502 - 509
Main Authors 栗山, 達朗, 乾, 崇樹, 綾仁, 悠介, 萩森, 伸一, 河田, 了
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 31.12.2022
日本めまい平衡医学会
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Summary:「はじめに」Bow hunter症候群(BHS)は頸部捻転を契機に椎骨脳底動脈領域の循環不全が起こり, めまいや意識障害, 感覚障害などを来す病態である. 1978年にSorensenによって報告されて以来, 本邦でも脳神経外科領域を中心に報告が散見されるが, 比較的稀な疾患である. 今回, 当科で当初前庭神経炎として対応したものの, 後にBHSと判明した1例を経験したため, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」症例:79歳, 女性 主訴:浮動性めまい 現病歴:庭掃除中に頭部を左側へ向けた際, 浮動性めまいを自覚し, 臥位安静にて様子をみていたが翌日嘔吐し当院救急科を受診した. 急性期の中枢性疾患は指摘されず, 翌日当科を受診した. 既往歴:高血圧, 脂質異常症, 急性虫垂炎術後, 子宮筋腫術後, 乳癌術後 生活歴:喫煙歴なし, 飲酒歴なし 「初診時所見」眼振所見:注視眼振検査では眼振を認めなかった.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.81.502