顎口腔領域に生じたLangerhans cell histiocytosisの5例

著者らは1992年から2007年の16年間に当科を受診した, 顎口腔領域のLangerhans cell histiocytosisの5例 (男性2名, 女性3名) を経験した. 初診時年齢は10ヶ月から65歳であった. 顎骨のみに病変が認められたのは3例であったが, 顎骨以外には肺と下垂体に認められた症例, 体幹部皮膚, 側頭骨および後頭骨に認められた症例が各1例認められた. 診断に関しては顎骨の画像所見等による臨床所見では確定は難しく, 病理組織学的診断が必須であった. 処置は病変の摘出掻爬のみ1例, 摘出掻爬に放射線照射の併用2例, 下顎骨切除と化学療法の併用1例, 化学療法単独1例と多...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 58; no. 3; pp. 317 - 324
Main Authors 狩野, 証夫, 笹岡, 邦典, 根岸, 明秀, 神野, 恵治, 茂木, 健司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.08.2008
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.58.317

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Summary:著者らは1992年から2007年の16年間に当科を受診した, 顎口腔領域のLangerhans cell histiocytosisの5例 (男性2名, 女性3名) を経験した. 初診時年齢は10ヶ月から65歳であった. 顎骨のみに病変が認められたのは3例であったが, 顎骨以外には肺と下垂体に認められた症例, 体幹部皮膚, 側頭骨および後頭骨に認められた症例が各1例認められた. 診断に関しては顎骨の画像所見等による臨床所見では確定は難しく, 病理組織学的診断が必須であった. 処置は病変の摘出掻爬のみ1例, 摘出掻爬に放射線照射の併用2例, 下顎骨切除と化学療法の併用1例, 化学療法単独1例と多様であった. 予後はおおむね良好であり, 本症により死亡した症例は認められなかった. 顎骨単発性病変でも, その後多発化や全身への波及の危険性を念頭に入れ, 慎重な経過観察が必要である. 顎口腔領域以外にも病変が認められる場合には化学療法を含め, 各科の協力によるすみやかな治療が必要であった.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.58.317