十二指腸浸潤を認めた膵粘液癌の1切除例

比較的稀な浸潤性膵管癌である膵粘液癌の1例を経験したので報告する.症例は69歳女性.心窩部痛を認め,上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行部に腫瘤を指摘され,当科を紹介受診した.上部消化管造影および内視鏡検査で,十二指腸下行部から水平部にかけて長径約10cm,表面凹凸不整である隆起性病変を認め,表面には多量の粘液付着を認めた.造影超音波検査およびCT検査では膵頭部に腫瘤を認め,辺縁および隔壁様構造が造影され,また腫瘤内部に樹枝状の造影効果を呈した.MRI検査で膵頭部腫瘤はT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号,MRCPで内部は弱い高信号を呈した.膵粘液癌もしくは膵管内乳頭粘液性癌と診断し,幽門...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in山口医学 Vol. 72; no. 1; pp. 39 - 43
Main Authors 戒能, 美雪, 津山, 高典, 仁志, 麻衣子, 浦田, 洋平, 一杉, 知毅, 播磨, 陽平, 中村, 陽平, 戒能, 聖治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 28.02.2023
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.72.39

Cover

More Information
Summary:比較的稀な浸潤性膵管癌である膵粘液癌の1例を経験したので報告する.症例は69歳女性.心窩部痛を認め,上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行部に腫瘤を指摘され,当科を紹介受診した.上部消化管造影および内視鏡検査で,十二指腸下行部から水平部にかけて長径約10cm,表面凹凸不整である隆起性病変を認め,表面には多量の粘液付着を認めた.造影超音波検査およびCT検査では膵頭部に腫瘤を認め,辺縁および隔壁様構造が造影され,また腫瘤内部に樹枝状の造影効果を呈した.MRI検査で膵頭部腫瘤はT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号,MRCPで内部は弱い高信号を呈した.膵粘液癌もしくは膵管内乳頭粘液性癌と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理診断は膵粘液癌pT3N0M0 StageⅡAであった.腫瘍辺縁部および隔壁様組織の線維化,さらには粘液湖内の血流や高粘稠度を反映した特徴的な造影パターン及びMRCPの信号強度が本疾患の診断に有用と考えられた.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.72.39