徳之島産ケナガネズミDiplothrix legataの精子形成に関する組織学的基礎情報

ケナガネズミは奄美大島,徳之島ならびに沖縄島北部のみに分布する日本固有の齧歯類である.今回我々は,徳之島において2016年8月に交通事故により死亡した雄のケナガネズミを入手し,その生殖腺の組織学的観察をおこなった.その結果,本個体の精巣では精子形成が認められたものの,精巣上体内の貯留精子は極めて少量であった.したがって,本個体は精巣および精巣上体の形態的な成熟を終え,その後の交尾に向けた繁殖学的機能性を獲得しつつある段階にあったと推察できた.今後,さらに個体数を増やすとともに,完全に性成熟を遂げた個体を用いた検討を継続していきたい....

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Published inHonyūrui kagaku Vol. 57; no. 2; pp. 217 - 220
Main Authors 加藤, 悟郎, 越本, 知大, 城ヶ原, 貴通, 後藤, 嘉輝, 篠原, 明男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Kyoto 日本哺乳類学会 01.01.2017
Japan Science and Technology Agency
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Summary:ケナガネズミは奄美大島,徳之島ならびに沖縄島北部のみに分布する日本固有の齧歯類である.今回我々は,徳之島において2016年8月に交通事故により死亡した雄のケナガネズミを入手し,その生殖腺の組織学的観察をおこなった.その結果,本個体の精巣では精子形成が認められたものの,精巣上体内の貯留精子は極めて少量であった.したがって,本個体は精巣および精巣上体の形態的な成熟を終え,その後の交尾に向けた繁殖学的機能性を獲得しつつある段階にあったと推察できた.今後,さらに個体数を増やすとともに,完全に性成熟を遂げた個体を用いた検討を継続していきたい.
Bibliography:ObjectType-Article-1
SourceType-Scholarly Journals-1
ObjectType-Feature-2
content type line 14
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.57.217