MRIにて動眼神経圧迫を確認し得た下垂体炎に伴う下垂体卒中の56歳男性例

症例は56歳男性である.突然の頭痛,発熱,瞳孔異常を伴わない右動眼神経麻痺,意識障害で発症した.頭部MRIでT1高信号を伴う下垂体の腫大より下垂体卒中と診断した.下垂体前葉ホルモンの著明な低下と中枢性尿崩症を呈したため高用量ステロイドを開始し,2日後に意識障害と頭痛は改善した.第30病日のMRIで腫瘤の明らかな縮小と動眼神経圧迫の改善を認めた.ステロイドへの迅速な反応と下垂体病変の消失から,下垂体卒中の原因は下垂体炎と推察した.頭部thin slice MRIで海面静脈洞入口部における動眼神経圧迫を認め,動眼神経麻痺の病態として栄養血管の血流障害を考えた....

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Published in臨床神経学 Vol. 58; no. 11; pp. 668 - 672
Main Authors 櫻井, 慎太郎, 五十嵐, 晴紀, 平田, 幸一, 国分, 則人, 舩越, 慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2018
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001192

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Summary:症例は56歳男性である.突然の頭痛,発熱,瞳孔異常を伴わない右動眼神経麻痺,意識障害で発症した.頭部MRIでT1高信号を伴う下垂体の腫大より下垂体卒中と診断した.下垂体前葉ホルモンの著明な低下と中枢性尿崩症を呈したため高用量ステロイドを開始し,2日後に意識障害と頭痛は改善した.第30病日のMRIで腫瘤の明らかな縮小と動眼神経圧迫の改善を認めた.ステロイドへの迅速な反応と下垂体病変の消失から,下垂体卒中の原因は下垂体炎と推察した.頭部thin slice MRIで海面静脈洞入口部における動眼神経圧迫を認め,動眼神経麻痺の病態として栄養血管の血流障害を考えた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001192