緩徐な臨床経過後に急速進行性認知機能障害を呈しE200K変異にコドン219Lys多型を伴った遺伝性Creutzfeldt-Jakob diseaseの1例
症例は57歳男性.4年前より緩徐進行性の遂行機能障害と言語症状があり前頭側頭型認知症にて外来加療中であった.その後4か月間で急速な認知機能障害と歩行障害を呈した.頭部MRI拡散強調像で両側大脳皮質と右尾状核に異常高信号域を認め,髄液14-3-3蛋白,総タウ蛋白が陽性であった.脳波上周期性同期性放電はなかった.プリオン蛋白遺伝子検査では,E200K変異に加えて,対立遺伝子上にコドン219Lys多型が存在し,遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease; CJD)と診断した.本症例の臨床経過は今までの典型的なE200K遺伝性CJDとは異なり,219Lys多型...
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Published in | 臨床神経学 Vol. 58; no. 11; pp. 682 - 687 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001206 |
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Summary: | 症例は57歳男性.4年前より緩徐進行性の遂行機能障害と言語症状があり前頭側頭型認知症にて外来加療中であった.その後4か月間で急速な認知機能障害と歩行障害を呈した.頭部MRI拡散強調像で両側大脳皮質と右尾状核に異常高信号域を認め,髄液14-3-3蛋白,総タウ蛋白が陽性であった.脳波上周期性同期性放電はなかった.プリオン蛋白遺伝子検査では,E200K変異に加えて,対立遺伝子上にコドン219Lys多型が存在し,遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease; CJD)と診断した.本症例の臨床経過は今までの典型的なE200K遺伝性CJDとは異なり,219Lys多型の稀な合併が影響した可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001206 |