小児患者における絵本を用いた服薬コンプライアンス向上に関するアンケート調査

「緒言」国内における小児の服薬アンケート調査の研究では, 66.4%の保護者が3歳以上の小児が薬を飲むことを嫌がった, 飲まなかったことが報告されており, 対象剤形は粉薬が84.2%と最も多いとされる. 小児の服薬困難な主な理由は, 苦味, におい, ざらつきなどの薬剤的性質があげられており, 保険調剤薬局における対策として服薬ゼリーやジュースに混ぜるなどの助言や指導が行われている. また, 保護者はこれらの服薬困難に対して, 薬をアイスやジュース, 様々な食品と混ぜることで改善の努力をしている. しかし, 粉薬を溶解することで苦味を生じる薬剤や薬効に影響を与える薬剤があり, 可能な限りそのま...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 144; no. 11; pp. 1031 - 1037
Main Authors 遠山, 卓, 杉浦, 宗敏, 吉田, 謙介, 庄司, 拓馬, 朴, 慶純, 竹, 佳奈美, 清海, 杏奈, 李, 英健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.11.2024
日本薬学会
Subjects
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.24-00132

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Summary:「緒言」国内における小児の服薬アンケート調査の研究では, 66.4%の保護者が3歳以上の小児が薬を飲むことを嫌がった, 飲まなかったことが報告されており, 対象剤形は粉薬が84.2%と最も多いとされる. 小児の服薬困難な主な理由は, 苦味, におい, ざらつきなどの薬剤的性質があげられており, 保険調剤薬局における対策として服薬ゼリーやジュースに混ぜるなどの助言や指導が行われている. また, 保護者はこれらの服薬困難に対して, 薬をアイスやジュース, 様々な食品と混ぜることで改善の努力をしている. しかし, 粉薬を溶解することで苦味を生じる薬剤や薬効に影響を与える薬剤があり, 可能な限りそのままの剤形での服用が望まれる. 小児における服薬コンプライアンスの低下は腎移植, 喘息, アトピー性皮膚炎, 肝移植の領域において報告されており, 服薬コンプライアンスが治療効果に影響を与えることが予想される.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.24-00132