免疫療法が奏効した小細胞肺癌合併抗CV2/CRMP5抗体陽性脊髄症の1例

症例は66歳女性.X−2年に小細胞肺癌と抗リカバリン抗体陽性傍腫瘍性網膜症を発症した.ステロイド治療と化学療法により網膜症は改善し肺癌は部分寛解となった.X年に亜急性に対麻痺を生じ,肺癌の再発を認めた.画像上は脊髄病変を認めなかったが,対麻痺および髄液の炎症所見から脊髄症と考えた.抗CV2/CRMP5抗体が陽性だったため傍腫瘍性脊髄症と診断しステロイド療法を行った.対麻痺は改善し,X + 3年に緩和ケアに移行するまで,神経症状の悪化はなく経過した.傍腫瘍性脊髄症は難治性といわれているが免疫治療が奏効し長期に生存する例もあるため,抗神経抗体の検索と適切な免疫治療の選択と継続が重要と考え報告する....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 60; no. 8; pp. 560 - 564
Main Authors 加納, 崇裕, 佐藤, 智香, 矢部, 一郎, 佐々木, 秀直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.60.cn-001432

Cover

More Information
Summary:症例は66歳女性.X−2年に小細胞肺癌と抗リカバリン抗体陽性傍腫瘍性網膜症を発症した.ステロイド治療と化学療法により網膜症は改善し肺癌は部分寛解となった.X年に亜急性に対麻痺を生じ,肺癌の再発を認めた.画像上は脊髄病変を認めなかったが,対麻痺および髄液の炎症所見から脊髄症と考えた.抗CV2/CRMP5抗体が陽性だったため傍腫瘍性脊髄症と診断しステロイド療法を行った.対麻痺は改善し,X + 3年に緩和ケアに移行するまで,神経症状の悪化はなく経過した.傍腫瘍性脊髄症は難治性といわれているが免疫治療が奏効し長期に生存する例もあるため,抗神経抗体の検索と適切な免疫治療の選択と継続が重要と考え報告する.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.60.cn-001432