心原性ショック治療に使用される持続静注薬剤の混合時の化学的安定性

「緒言」心原性ショックは, 原発性心臓機能障害による, 重篤な臓器低灌流の状態として定義される. 低灌流の状態は, 組織低酸素症及び細胞代謝の変化を起こし臓器機能障害につながる. 心原性ショックの原因は, 急性心筋梗塞の症例の55.4%が関連しているとされており, その症例の死亡率は40-50%であった. また, 心原性ショックは急性心不全の最も重篤な状態であり, 前向き観察研究において急性心不全は2.9%が心原性ショックに関連し, その死亡率は54%であった. したがって, 心原性ショックは, 薬剤及び機械的循環補助装置などの進歩にもかかわらず, 高い死亡率を有す重症度の高い状態である. 心...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 142; no. 11; pp. 1267 - 1276
Main Authors 小野田, 稔久, 木下, 雅子, 田中, 博之, 井澤, 香, 浦野, 敦, 佐藤, 直子, 増田, 雅行, 石井, 敏浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.11.2022
日本薬学会
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Summary:「緒言」心原性ショックは, 原発性心臓機能障害による, 重篤な臓器低灌流の状態として定義される. 低灌流の状態は, 組織低酸素症及び細胞代謝の変化を起こし臓器機能障害につながる. 心原性ショックの原因は, 急性心筋梗塞の症例の55.4%が関連しているとされており, その症例の死亡率は40-50%であった. また, 心原性ショックは急性心不全の最も重篤な状態であり, 前向き観察研究において急性心不全は2.9%が心原性ショックに関連し, その死亡率は54%であった. したがって, 心原性ショックは, 薬剤及び機械的循環補助装置などの進歩にもかかわらず, 高い死亡率を有す重症度の高い状態である. 心原性ショックに対する第一選択薬は心拍出量増加目的のドブタミン塩酸塩であり, 昇圧目的にノルアドレナリンの併用が推奨されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.22-00138