Vogt-小柳-原田病経過中に発症したAdie瞳孔と脈絡膜血流の検討―レーザースペックルフローグラフィーを用いて

Vogt-小柳-原田病に合併した両眼性のAdie瞳孔の1例を経験した.症例は34歳の女性,両眼の変視および視力障害を主訴として当院へ紹介受診となった.原田病と診断し,ステロイド療法によって約1か月で視力改善を認めた.退院後の診察時も羞明を訴え,両眼の中等度散瞳,対光反射の消失を認めた.近見反応の遷延と0.125%ピロカルピンに対する脱神経過敏を認め,Adie瞳孔と診断した.Adie瞳孔は80%以上が片眼性であるが,原田病とAdie瞳孔の合併に関する過去の報告においても8/9症例が両眼性に発症しており,原田病のような両眼性疾患ではAdie瞳孔の所見も両眼に現れやすいことが推察された.過去の報告で...

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Published in神経眼科 Vol. 35; no. 4; pp. 418 - 423
Main Authors 渡辺, 研人, 松本, 直, 柴, 友明, 富田, 匡彦, 森山, 紗帆, 石川, 均, 堀, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.12.2018
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Summary:Vogt-小柳-原田病に合併した両眼性のAdie瞳孔の1例を経験した.症例は34歳の女性,両眼の変視および視力障害を主訴として当院へ紹介受診となった.原田病と診断し,ステロイド療法によって約1か月で視力改善を認めた.退院後の診察時も羞明を訴え,両眼の中等度散瞳,対光反射の消失を認めた.近見反応の遷延と0.125%ピロカルピンに対する脱神経過敏を認め,Adie瞳孔と診断した.Adie瞳孔は80%以上が片眼性であるが,原田病とAdie瞳孔の合併に関する過去の報告においても8/9症例が両眼性に発症しており,原田病のような両眼性疾患ではAdie瞳孔の所見も両眼に現れやすいことが推察された.過去の報告では,その発症は,視力や炎症の程度とは比例しなかった.本症例においてレーザースペックルフローグラフィー(LSFG)にて脈絡膜血流を測定したところ,発症時より低下しており(右眼脈絡膜MBR:1.5,左眼脈絡膜MBR:1.7),原田病の治療により脈絡膜血流が治療前と比較して右眼1,050%,左眼720%と大幅に改善した.原田病におけるAdie瞳孔の合併には,脈絡膜の虚血も強く関わっている可能性が示唆された.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.35.418