国立療養所宮崎病院における呼吸不全の現況とその対策

最近呼吸不全が増加してきたので, 国立療養所宮崎病院の, 過去15年間の入院死亡を検討した. 結核死が激減し, 代りに悪性腫瘍, 特に肺癌と, 非結核性呼吸器疾患が, いずれもこの10年間に3倍から5倍に増加している. これら呼吸器疾患の増加と, 肺結核の重症化は, 呼吸不全の増加として反映され, 入院中の患者で呼吸不全にあるものが42例, そのうち13例が02吸入を必要としている. 呼吸不全の治療として, 気管切開を積極的に行うこと, 非生理的な気道加圧を避けること, 栄養管理の重要性について強調した. 今後の課題として, 理想的ネブライザーの開発, 緊急蘇生手段としてのECMOの導入, 自...

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Published in医療 Vol. 37; no. 11; pp. 1086 - 1089
Main Author 中村, 良昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1983
医療同好会
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Summary:最近呼吸不全が増加してきたので, 国立療養所宮崎病院の, 過去15年間の入院死亡を検討した. 結核死が激減し, 代りに悪性腫瘍, 特に肺癌と, 非結核性呼吸器疾患が, いずれもこの10年間に3倍から5倍に増加している. これら呼吸器疾患の増加と, 肺結核の重症化は, 呼吸不全の増加として反映され, 入院中の患者で呼吸不全にあるものが42例, そのうち13例が02吸入を必要としている. 呼吸不全の治療として, 気管切開を積極的に行うこと, 非生理的な気道加圧を避けること, 栄養管理の重要性について強調した. 今後の課題として, 理想的ネブライザーの開発, 緊急蘇生手段としてのECMOの導入, 自宅酸素療法を行つている患者のための, 車椅子の開発などの必要性について述べた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.37.1086