哺乳類学者・進化学者 徳田御稔の足跡
「1. はじめに」大舘智志(北海道大学低温科学研究所)徳田御稔(とくだみとし)(1906-1975)は第二次大戦前後に活躍した動物学者, 進化学者である. 彼は東アジアの齧歯類分類の本格的な発展に寄与し, また生物地理学, 進化学に関する書物を多数出版し, 戦後の哺乳類学のみならず進化生物学に大きな影響を与えた. 現在の日本の中核的な哺乳類研究者は彼の直接的, 間接的孫弟子にあたるものも多い. また, 戦後の哺乳類学研究の要石である『哺乳類科学』誌の創刊初期には, 徳田が先頭になって論陣を張ってきたことからもその影響の大きさは分かろう. このように徳田が日本の哺乳類学, 特に小型哺乳類の分類や...
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Published in | 哺乳類科学 Vol. 51; no. 1; pp. 206 - 211 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本哺乳類学会
2011
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-437X 1881-526X |
DOI | 10.11238/mammalianscience.51.206 |
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Summary: | 「1. はじめに」大舘智志(北海道大学低温科学研究所)徳田御稔(とくだみとし)(1906-1975)は第二次大戦前後に活躍した動物学者, 進化学者である. 彼は東アジアの齧歯類分類の本格的な発展に寄与し, また生物地理学, 進化学に関する書物を多数出版し, 戦後の哺乳類学のみならず進化生物学に大きな影響を与えた. 現在の日本の中核的な哺乳類研究者は彼の直接的, 間接的孫弟子にあたるものも多い. また, 戦後の哺乳類学研究の要石である『哺乳類科学』誌の創刊初期には, 徳田が先頭になって論陣を張ってきたことからもその影響の大きさは分かろう. このように徳田が日本の哺乳類学, 特に小型哺乳類の分類や生態研究の発展に果たした役割は大きい. 一方, 戦後に徳田の著した『生物進化論』, 『二つの遺伝学』, 『進化学入門:種の問題を中心に』, 『進化・系統分類学』などの一連の進化関連の著作は, 同僚である今西錦司の進化論とともに日本の進化研究に多大な影響を及ぼした. |
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ISSN: | 0385-437X 1881-526X |
DOI: | 10.11238/mammalianscience.51.206 |