呈色反応を用いたツキヨタケ簡易鑑別法における呈色化合物の特定

呈色反応を用いたツキヨタケ簡易判別法における呈色化合物を特定した.ツキヨタケのメタノール抽出物から液–液分配により塩基性条件下で呈色する化合物を単離した.この化合物のスペクトル解析を行ったところ,テレフォール酸であることが判明した.テレフォール酸のエタノール溶液とツキヨタケのエタノール抽出液について,両溶液の紫外可視吸収スペクトルおよびビーム試薬(5%水酸化カリウムエタノール溶液)に対する呈色変化を比較したところ,両者で一致した.また,LC-MS/MSを用いて,ツキヨタケおよび食用のムキタケ,ヒラタケ,シイタケ中のテレフォール酸を分析したところ,ツキヨタケのみからテレフォール酸が検出された.以...

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Published in食品衛生学雑誌 Vol. 65; no. 6; pp. 137 - 141
Main Authors 大河原, 龍馬, 赤塚, 亮太, 長岡, 由香, 佐藤, 昌宏, 篠原, 秀幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.12.2024
日本食品衛生学会
Subjects
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ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.65.137

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Summary:呈色反応を用いたツキヨタケ簡易判別法における呈色化合物を特定した.ツキヨタケのメタノール抽出物から液–液分配により塩基性条件下で呈色する化合物を単離した.この化合物のスペクトル解析を行ったところ,テレフォール酸であることが判明した.テレフォール酸のエタノール溶液とツキヨタケのエタノール抽出液について,両溶液の紫外可視吸収スペクトルおよびビーム試薬(5%水酸化カリウムエタノール溶液)に対する呈色変化を比較したところ,両者で一致した.また,LC-MS/MSを用いて,ツキヨタケおよび食用のムキタケ,ヒラタケ,シイタケ中のテレフォール酸を分析したところ,ツキヨタケのみからテレフォール酸が検出された.以上のことから,当該呈色反応における呈色化合物がテレフォール酸であり,少なくとも前述3種の食用キノコとツキヨタケの鑑別において有用であることが裏付けられた.
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.65.137