ニホンジカ管理の現場に求められる食資源化の現状と将来展望

「1. 全国の捕獲と利活用の現状と課題 横山真弓(兵庫県立大学)」 近年, 捕獲した野生動物の利活用に関する取り組みが地方自治体を中心に急激に高まっている. これは利活用が, 全国的に激化するニホンジカ(Cervus nippon, 以下, シカ)等に起因する農林業被害対策の一環として「捕獲促進策」と位置づけられたためである(鈴木・横山2012). しかし, 野生動物を衛生的に扱い, 食品としての安全性を担保する仕組みを十分整備している施設や自治体はきわめて少ない. これは, 野生動物を食資源として扱うためのシステム構築に向けた十分な調査研究, データ分析に基づく行政施策の立案などのステップを...

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Published in哺乳類科学 Vol. 53; no. 1; pp. 202 - 205
Main Authors 横山, 真弓, 松浦, 友紀子, 井田, 宏之, 竹田, 謙一, 鈴木, 正嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本哺乳類学会 2013
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Summary:「1. 全国の捕獲と利活用の現状と課題 横山真弓(兵庫県立大学)」 近年, 捕獲した野生動物の利活用に関する取り組みが地方自治体を中心に急激に高まっている. これは利活用が, 全国的に激化するニホンジカ(Cervus nippon, 以下, シカ)等に起因する農林業被害対策の一環として「捕獲促進策」と位置づけられたためである(鈴木・横山2012). しかし, 野生動物を衛生的に扱い, 食品としての安全性を担保する仕組みを十分整備している施設や自治体はきわめて少ない. これは, 野生動物を食資源として扱うためのシステム構築に向けた十分な調査研究, データ分析に基づく行政施策の立案などのステップを踏む前段階で, 各自治体や省庁の事業化のみが進行してしまった影響が大きい. そのため, 利活用の現場では知識が不十分なままの取り組みが多くなされ, 様々な問題が噴出している. 本集会では, 現状を踏まえ, 捕獲から資源活用までの一体的な取り組みを推進していくため, 国内外の事例を紹介しながら現状と課題を整理し, 今後の展望について議論することを目的として企画した.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.53.202