量子創薬 ─論理的形態制御学の原理

「1. はじめに」 ある瞬間, 宇宙空間の全点に対して平等に, かつすべての方向に一様に力が加えられたとする. このとき, 意味のある変化が生ずるだろうか? エネルギー(力)を生み出すことに成功しても, これではなんの作用も生まれない. 作用が生ずるためには, 空間の異なる領域がなんらかの形で差別化されていなければならない. 空間に偏りが生じるためには, 空間の異なる領域の間になんらかのバリアーがなければならない. このバリアーを「形態」と呼び, それにより生み出される作用を「機能」と呼ぶ. 機能を生み出すためには, 形態が必要である. しかし, 人類は, 機能と形態を一対一で結びつけることに...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 132; no. 8; pp. 873 - 879
Main Author 桑田, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 2012
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」 ある瞬間, 宇宙空間の全点に対して平等に, かつすべての方向に一様に力が加えられたとする. このとき, 意味のある変化が生ずるだろうか? エネルギー(力)を生み出すことに成功しても, これではなんの作用も生まれない. 作用が生ずるためには, 空間の異なる領域がなんらかの形で差別化されていなければならない. 空間に偏りが生じるためには, 空間の異なる領域の間になんらかのバリアーがなければならない. このバリアーを「形態」と呼び, それにより生み出される作用を「機能」と呼ぶ. 機能を生み出すためには, 形態が必要である. しかし, 人類は, 機能と形態を一対一で結びつけることには, いまだ成功していない. 機能を全空間にわたり厳密に定義した場合は, 全空間にわたる形態が唯一定まる可能性がある. したがって, この場合, 形態を機能という目的のために「最適化」することが可能かもしれない.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.132.873