ステロイド添加可吸収性止血剤を用いた鼻内処置は, 好酸球性副鼻腔炎術後の再然を長期間コントロールし, 経口ステロイド量を減少させる

「はじめに:」好酸球性副鼻腔炎は, 嗅覚障害や鼻漏を主症状とし, 治療に抵抗性を示す難治性の副鼻腔炎である. 好酸球性副鼻腔炎に対し内視鏡下鼻内副鼻腔手術(endoscopic sinus surgery : ESS)を施行しても術後1年で30%以上がポリープの再発や嗅覚障害を呈し経過不良であるとされる. 再燃時には経口ステロイド薬を短期間投与して炎症を鎮静させ改善を図ることができる. しかし, 内服を中止すると嗅覚障害の訴えがしばしば再出現し, 頻回の経口ステロイド薬の投与を必要とされ, ステロイド依存になりやすい. 今回, ESSで開放した篩骨洞と嗅裂にステロイド添加可吸収性材料を用いた処...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 123; no. 9; pp. 1216 - 1217
Main Authors 今野, 渉, 柏木, 隆志, 常見, 泰弘, 後藤, 一貴, 春名, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.09.2020
日本耳鼻咽喉科学会
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Summary:「はじめに:」好酸球性副鼻腔炎は, 嗅覚障害や鼻漏を主症状とし, 治療に抵抗性を示す難治性の副鼻腔炎である. 好酸球性副鼻腔炎に対し内視鏡下鼻内副鼻腔手術(endoscopic sinus surgery : ESS)を施行しても術後1年で30%以上がポリープの再発や嗅覚障害を呈し経過不良であるとされる. 再燃時には経口ステロイド薬を短期間投与して炎症を鎮静させ改善を図ることができる. しかし, 内服を中止すると嗅覚障害の訴えがしばしば再出現し, 頻回の経口ステロイド薬の投与を必要とされ, ステロイド依存になりやすい. 今回, ESSで開放した篩骨洞と嗅裂にステロイド添加可吸収性材料を用いた処置をすることにより, 長期の再燃の抑制効果と経口ステロイドの服用量を減少させる可能性について検討した.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.123.1216