抗不整脈薬の薬理遺伝学的情報に基づく効果的な治療薬物モニタリング
「1. はじめに」抗不整脈薬は, 強力な薬理作用を有している一方で, 催不整脈作用の生じる可能性があり, 安全性の確保のために治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring; TDM)を必要とする薬剤である. 抗不整脈薬の多くは診療報酬における特定薬剤治療管理料1を算定可能なTDM対象薬であるが, 臨床においてTDMを十分に活用できていない現状がある. TDMを活用できていない原因としては, 血中薬物濃度を医療現場で簡易に測定可能な方法(測定キットが市販されている免疫学的測定法など)がないことや, 一部の副作用の評価に心電図検査を利用できることが挙げられる. さら...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 9; pp. 1145 - 1150 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.09.2018
日本薬学会 |
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Summary: | 「1. はじめに」抗不整脈薬は, 強力な薬理作用を有している一方で, 催不整脈作用の生じる可能性があり, 安全性の確保のために治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring; TDM)を必要とする薬剤である. 抗不整脈薬の多くは診療報酬における特定薬剤治療管理料1を算定可能なTDM対象薬であるが, 臨床においてTDMを十分に活用できていない現状がある. TDMを活用できていない原因としては, 血中薬物濃度を医療現場で簡易に測定可能な方法(測定キットが市販されている免疫学的測定法など)がないことや, 一部の副作用の評価に心電図検査を利用できることが挙げられる. さらに, 抗不整脈薬のTDMを効果的に実施するために必要な情報の不足も原因として挙げられ, 特にTDMの必要性が高い患者の識別や血中薬物濃度の有効治療域に関する情報が十分でない. これらの情報にはそれぞれ抗不整脈薬の体内動態及び作用発現の個人差を考慮する必要があると考えられるが, それらの個人差と薬理遺伝学的要因の関連は明らかにされていなかった. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.18-00114 |