肺癌術後肺炎に対する周術期口腔機能管理の有効性に関する後ろ向き観察研究
「I はじめに」肺がん手術は外科的侵襲が大きいため, 術後に肺合併症などを生じやすく, 術後肺合併症の発生頻度が15%と高いことが知られている. 術後合併症の中でも術後肺炎は入院期間の延長, 患者の生活の質の低下に繋がるので注意を要する. 当科では2014年より特殊歯科・口腔外科外来に口腔管理センターを設置し, 専従の歯科医師, 歯科衛生士を配置するとともに各診療科と綿密な連携のもと周術期口腔機能管理を行ってきた. 2012年に歯科診療報酬に「周術期口腔機能管理」が収載され, がん患者の周術期, 化学療法実施時, あるいは心臓手術や臓器移植手術の周術期に, 口腔ケアや口腔内の感染巣の除去が包括...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 66; no. 4; pp. 249 - 256 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
10.08.2018
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Subjects | |
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ISSN | 0037-3826 1884-6580 |
DOI | 10.11441/shinshumedj.66.249 |
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Summary: | 「I はじめに」肺がん手術は外科的侵襲が大きいため, 術後に肺合併症などを生じやすく, 術後肺合併症の発生頻度が15%と高いことが知られている. 術後合併症の中でも術後肺炎は入院期間の延長, 患者の生活の質の低下に繋がるので注意を要する. 当科では2014年より特殊歯科・口腔外科外来に口腔管理センターを設置し, 専従の歯科医師, 歯科衛生士を配置するとともに各診療科と綿密な連携のもと周術期口腔機能管理を行ってきた. 2012年に歯科診療報酬に「周術期口腔機能管理」が収載され, がん患者の周術期, 化学療法実施時, あるいは心臓手術や臓器移植手術の周術期に, 口腔ケアや口腔内の感染巣の除去が包括的に行われるようになった. しかしながら, 周術期口腔ケアの有効性を検討したエビデンスレベルの高い報告は少ない. また, 口腔ケアにより肺がん手術後肺炎の発症頻度を減少させたとする報告もあるが, 単施設, 少数例の非ランダム化試験であり, 口腔ケア以外に術後肺炎に関連すると思われる因子 (肥満, 喫煙, 低肺機能など) については検討されていない. |
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ISSN: | 0037-3826 1884-6580 |
DOI: | 10.11441/shinshumedj.66.249 |