硬性内視鏡を補助的に用いた口内法による関節突起骨折観血的整復術

下顎骨関節突起骨折に対する治療として, 保存療法を選択するか観血的整復術を選択するかは議論の分かれるところであり, 一定の見解が得られていないのが現状である. 保存療法を選択した場合, 開口障害の改善までに長期間を要する症例や, 咬合の偏位が残存する症例も散見され, 口腔外からの観血的整復術では顔面神経損傷の危険性や術創残存という審美的な問題を無視できない. また, 観血的整復術を行う場合でも, 口腔内・口腔外アプローチどちらを選択するかといった基準や, 硬性内視鏡を使用するにあたっての適応症例については明確に分類されておらず, 術者の判断にまかされているのが現状である. 関節突起骨折3症例に...

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Published inDental Medicine Research Vol. 30; no. 2; pp. 178 - 182
Main Authors 代田, 達夫, 新谷, 悟, 藤田, 日登美, 羽鳥, 仁志, 吉濱, 泰斗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 2010
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ISSN1882-0719
2186-540X
DOI10.7881/dentalmedres.30.178

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Summary:下顎骨関節突起骨折に対する治療として, 保存療法を選択するか観血的整復術を選択するかは議論の分かれるところであり, 一定の見解が得られていないのが現状である. 保存療法を選択した場合, 開口障害の改善までに長期間を要する症例や, 咬合の偏位が残存する症例も散見され, 口腔外からの観血的整復術では顔面神経損傷の危険性や術創残存という審美的な問題を無視できない. また, 観血的整復術を行う場合でも, 口腔内・口腔外アプローチどちらを選択するかといった基準や, 硬性内視鏡を使用するにあたっての適応症例については明確に分類されておらず, 術者の判断にまかされているのが現状である. 関節突起骨折3症例に対し, 硬性内視鏡を用いた口内法による観血的整復術を施行し, 良好な結果を得たので文献的考察を加えて報告する. 症例1: 60歳女性. 両側関節突起骨折 (右側: 基底部, 左側: 頸部). 症例2: 26歳男性. 右側関節突起骨折 (基底部). 症例3: 40歳女性. 左側関節突起骨折 (基底部). 3症例とも口腔内に切開を加え, 硬性内視鏡下に骨片の整復を行い, チタンミニプレートとスクリューを用いて固定した. なお, 症例1の左側関節突起骨片は脱臼偏位が大きく, 整復が困難であったため右側のみ整復固定を行った. いずれの症例においても, 整復した下顎頭の位置は良好で咬合状態も安定しており, 早期の開口訓練が可能であった. 術後1年で開口量は約40 mm, 咬合状態良好で顎関節症状も認められない.
ISSN:1882-0719
2186-540X
DOI:10.7881/dentalmedres.30.178