脆弱性骨折患者における25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]の検討

高齢骨粗鬆症患者の多くがビタミンD欠乏症であるとされる.しかし,実際の脆弱性骨折患者における25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]がどの程度の値を呈しているかについて報告した論文は少ない.そこでわれわれは,血中25(OH)D濃度を測定した脆弱性骨折患者について調査した.2017年4月から2018年4月まで血中25(OH)D濃度を測定した60歳以上の患者のうち脆弱性骨折(脊椎椎体骨折,大腿骨近位部骨折,橈骨遠位端骨折)を来した経験のある178例を対象とした.年齢,性別,腎機能,血中カルシウム濃度,血中アルブミン濃度,脆弱性骨折の種類,活性型ビタミンD3製剤内服の有無を調査した.血中25(O...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 2; pp. 205 - 208
Main Authors 内藤, 東一郎, 石倉, 透, 近藤, 秀臣, 福原, 志東, 赤星, 正二郎, 有田, 忍, 馬場, 賢治, 塚本, 学, 沖本, 信和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2021
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:高齢骨粗鬆症患者の多くがビタミンD欠乏症であるとされる.しかし,実際の脆弱性骨折患者における25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]がどの程度の値を呈しているかについて報告した論文は少ない.そこでわれわれは,血中25(OH)D濃度を測定した脆弱性骨折患者について調査した.2017年4月から2018年4月まで血中25(OH)D濃度を測定した60歳以上の患者のうち脆弱性骨折(脊椎椎体骨折,大腿骨近位部骨折,橈骨遠位端骨折)を来した経験のある178例を対象とした.年齢,性別,腎機能,血中カルシウム濃度,血中アルブミン濃度,脆弱性骨折の種類,活性型ビタミンD3製剤内服の有無を調査した.血中25(OH)D濃度は平均13.3 ng/mlであり,患者の多くがビタミンD欠乏の状態であった.血中25(OH)D濃度は年齢と負の相関を,血中アルブミン濃度と正の相関を認めた.骨折型では,脊椎椎体骨折と大腿骨近位部骨折の経験のある症例(橈骨遠位端骨折はない)は大腿骨近位部骨折単独および橈骨遠位端骨折単独に比べて,血中25(OH)D濃度が有意に低値であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.70.205