大腿骨変形に対する逆行性髄内釘を用いた矯正骨切り術の治療経験

大腿骨変形は下肢アライメント異常の原因となり,ときに膝関節障害を引き起こす.今回我々は幼少期の遺残した大腿骨遠位部変形に対し,逆行性髄内釘を使用した矯正骨切り術を行ったので,その有用性に関して検討を加える.症例は2例,1例は25歳の女性で,大腿骨骨腫瘍に対する頻回の手術歴があり,遠位部での内反変形が残存していた.もう1例は42歳女性でBlount病に伴う脛骨内反と大腿顆部の外反変形が認められた.両者とも主訴は歩行時の膝関節痛であった.手術は大腿遠位でのドーム状矯正骨切りを行い,創外固定にて保持し逆行性髄内釘にて固定した.両者とも術後早期にROM訓練を開始し,荷重は4-6週で開始した.術後合併症...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 4; pp. 774 - 776
Main Authors 中山, 宗郎, 田口, 勝規, 杉山, 健太郎, 上木, 智博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2020
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Summary:大腿骨変形は下肢アライメント異常の原因となり,ときに膝関節障害を引き起こす.今回我々は幼少期の遺残した大腿骨遠位部変形に対し,逆行性髄内釘を使用した矯正骨切り術を行ったので,その有用性に関して検討を加える.症例は2例,1例は25歳の女性で,大腿骨骨腫瘍に対する頻回の手術歴があり,遠位部での内反変形が残存していた.もう1例は42歳女性でBlount病に伴う脛骨内反と大腿顆部の外反変形が認められた.両者とも主訴は歩行時の膝関節痛であった.手術は大腿遠位でのドーム状矯正骨切りを行い,創外固定にて保持し逆行性髄内釘にて固定した.両者とも術後早期にROM訓練を開始し,荷重は4-6週で開始した.術後合併症はなく骨癒合も良好で,現在疼痛なく歩行可能である.この方法は,プレート固定と比較し手術手技においてはやや煩雑で経験を要するが,低侵襲なためROM回復や骨癒合は良好であり有用な方法と思われた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.774