小児期に膀胱拡大術を施行し,妊娠に伴い腎後性腎不全となった1 例

神経因性膀胱で,抗コリン薬などの保存的治療に抵抗性である小児において,腸管利用膀胱拡大術は近年積極的に施行されている。症例は24 歳,女性。7 歳時にS状結腸利用膀胱拡大術を施行され,その後,清潔間歇導尿法,洗腸を継続し,小児腎臓科でフォローアップしてきた。24 歳時に妊娠に至り,妊娠26 週にて両側水腎症を伴う腎後性腎不全を来し,入院となった。泌尿器科に依頼し,両側腎瘻増設を行い,水腎症,腎機能の改善を認め,正期産にて出産を迎えることができた。途中,無症候性細菌尿を認めたが,抗菌薬投与にて尿所見は改善し,腎盂腎炎を発症することもなかった。今後も膀胱拡大術後の妊娠症例は増えてくることが予想され...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 155 - 159
Main Authors 笠置, 俊希, 後藤, 芳充, 笠原, 克明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2018
日本小児腎臓病学会
Subjects
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.cr.2017.0129

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Summary:神経因性膀胱で,抗コリン薬などの保存的治療に抵抗性である小児において,腸管利用膀胱拡大術は近年積極的に施行されている。症例は24 歳,女性。7 歳時にS状結腸利用膀胱拡大術を施行され,その後,清潔間歇導尿法,洗腸を継続し,小児腎臓科でフォローアップしてきた。24 歳時に妊娠に至り,妊娠26 週にて両側水腎症を伴う腎後性腎不全を来し,入院となった。泌尿器科に依頼し,両側腎瘻増設を行い,水腎症,腎機能の改善を認め,正期産にて出産を迎えることができた。途中,無症候性細菌尿を認めたが,抗菌薬投与にて尿所見は改善し,腎盂腎炎を発症することもなかった。今後も膀胱拡大術後の妊娠症例は増えてくることが予想されるため,小児科医は成人科への移行医療を進める必要もある。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.cr.2017.0129