臼後部に生じた嚢胞腺癌の一例
唾液腺由来の嚢胞腺癌は極めて稀であり, かつて悪性の嚢胞腺腫, 粘液産生型乳頭腺癌と呼ばれていた. 我々は, 臼後部に生じた嚢胞腺癌の一例を報告する. 症例は30歳の男性で左側下顎臼後部に直径約5 mmの腫瘤を認めた. 腫瘤は弾性軟であり, 周囲組織との癒着はなかった. 下顎良性腫瘍という臨床診断の下, 全摘生検を施行した. 組織学的診断の結果, 悪性の唾液腺腫瘍との診断を得たため, 10 mmの安全域を設けて追加切除した. 病理組織学的には腫瘍性上皮成分は充実性で篩状又は小嚢胞状を呈し, 小唾液腺を破壊しており, 軽度の核の異型性を認めたため, 嚢胞腺癌との確定診断を得た. 腫瘍切除後, 約...
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Published in | Dental Medicine Research Vol. 31; no. 1; pp. 41 - 44 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学・昭和歯学会
2011
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ISSN | 1882-0719 2186-540X |
DOI | 10.7881/dentalmedres.31.41 |
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Summary: | 唾液腺由来の嚢胞腺癌は極めて稀であり, かつて悪性の嚢胞腺腫, 粘液産生型乳頭腺癌と呼ばれていた. 我々は, 臼後部に生じた嚢胞腺癌の一例を報告する. 症例は30歳の男性で左側下顎臼後部に直径約5 mmの腫瘤を認めた. 腫瘤は弾性軟であり, 周囲組織との癒着はなかった. 下顎良性腫瘍という臨床診断の下, 全摘生検を施行した. 組織学的診断の結果, 悪性の唾液腺腫瘍との診断を得たため, 10 mmの安全域を設けて追加切除した. 病理組織学的には腫瘍性上皮成分は充実性で篩状又は小嚢胞状を呈し, 小唾液腺を破壊しており, 軽度の核の異型性を認めたため, 嚢胞腺癌との確定診断を得た. 腫瘍切除後, 約半年が経過し, 転移および再発は認められない. |
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ISSN: | 1882-0719 2186-540X |
DOI: | 10.7881/dentalmedres.31.41 |