山口県祝島集落の気候適応性能評価

ネリヘイと呼ばれる石壁を持つ住宅が数多く残る山口県祝島集落において,その気候適応性能を明らかにするため集落・室内気候観測およびアンケート調査を行った.住宅を密に複雑に並べることによって集落内部の風速が弱められていた.ネリヘイや家屋によって囲まれ風速が弱められた場所では気温が高くなり,総合体感指標である ETU でも高温になることを示した.室内においてはネリヘイよりも屋根の葺き土が夏季の暑熱緩和に大きく影響した.住民は空調設備の使用率が低いながらも,通風や着衣の調節など機器を用いない工夫を多用することでさほど不快でない熱環境を形成し暮らしていた....

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Published in日本生気象学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 77 - 92
Main Authors 長野, 和雄, 堀越, 哲美, 石井, 仁, 宇野, 勇治, 橋本, 剛, 兼子, 朋也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生気象学会 2013
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Summary:ネリヘイと呼ばれる石壁を持つ住宅が数多く残る山口県祝島集落において,その気候適応性能を明らかにするため集落・室内気候観測およびアンケート調査を行った.住宅を密に複雑に並べることによって集落内部の風速が弱められていた.ネリヘイや家屋によって囲まれ風速が弱められた場所では気温が高くなり,総合体感指標である ETU でも高温になることを示した.室内においてはネリヘイよりも屋根の葺き土が夏季の暑熱緩和に大きく影響した.住民は空調設備の使用率が低いながらも,通風や着衣の調節など機器を用いない工夫を多用することでさほど不快でない熱環境を形成し暮らしていた.
ISSN:0389-1313
1347-7617
DOI:10.11227/seikisho.50.77