術前部位診断が可能で,腹腔鏡補助下回腸部分切除術を施行した回腸GISTの1例
I はじめに 消化管の非上皮性腫瘍のなかに, 免疫組織化学的染色法の進歩により, 平滑筋や神経に分化を示さないgastrointestinal stromal tumor(以下, GIST)と総称される概念が提唱された. 小腸のGISTは比較的稀であり, 大量出血や腸閉塞にて発見され, 術前に十分な検索がなされる症例は少ない. 今回, 腹部CT検査, 血管造影検査にて術前に部位診断を行い, 腹腔鏡補助下に切除した回腸GISTの1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. II 症例 患者:60歳, 女性. 主訴:下血. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:17歳時, 急性虫垂炎に...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 54; no. 5; pp. 265 - 268 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
2006
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-3826 1884-6580 |
DOI | 10.11441/shinshumedj.54.265 |
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Summary: | I はじめに 消化管の非上皮性腫瘍のなかに, 免疫組織化学的染色法の進歩により, 平滑筋や神経に分化を示さないgastrointestinal stromal tumor(以下, GIST)と総称される概念が提唱された. 小腸のGISTは比較的稀であり, 大量出血や腸閉塞にて発見され, 術前に十分な検索がなされる症例は少ない. 今回, 腹部CT検査, 血管造影検査にて術前に部位診断を行い, 腹腔鏡補助下に切除した回腸GISTの1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. II 症例 患者:60歳, 女性. 主訴:下血. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:17歳時, 急性虫垂炎にて手術施行. 1996年, 僧帽弁狭窄症, 発作性心房細動にて経皮経カテーテル的僧帽弁切開術を施行, さらに内服治療開始した. 1998年, 胆石症にて腹腔鏡下胆嚢摘出術施行した. 2000年, 急性多発根神経炎にてステロイド治療開始したが, 現在はステロイドからは離脱していた. 2004年, 動悸, 労作時の呼吸困難が出現し, 僧帽弁狭窄, 発作性心房細動に対し, 外科手術の適応と判断され, 当院循環器外科に入院した. |
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ISSN: | 0037-3826 1884-6580 |
DOI: | 10.11441/shinshumedj.54.265 |