神経痛として長期間加療された閉鎖孔ヘルニアの1例

I 緒言 閉鎖孔ヘルニアはやせた高齢の女性に見られる比較的稀な疾患であり, 閉鎖神経の圧迫により膝から大腿内側, 時に股関節部の疼痛を伴うことが多い1)-3). 閉鎖孔ヘルニア症例では嵌頓による腸閉塞で緊急手術が施行されることがほとんどであるが, 嵌頓と自然整復を繰り返す例も報告されている4)5). 今回, 繰り返す股関節部痛を脊椎の変形性病変に伴う神経痛として長期間加療された閉鎖孔ヘルニアの症例を経験したため文献的考察を加え報告する II 症例 症例:84歳, 女性. 主訴:腹痛, 嘔吐. 既往歴:左下肢神経痛, 変形性膝関節症, 変形性脊椎症の治療歴あり. 高血圧症で加療中. 分娩歴2回....

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Published in信州医学雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 11 - 14
Main Authors 矢代, 泰章, 安達, 亙, 井上, 憲昭, 岸本, 恭, 高橋, 秀人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2007
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.55.11

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Summary:I 緒言 閉鎖孔ヘルニアはやせた高齢の女性に見られる比較的稀な疾患であり, 閉鎖神経の圧迫により膝から大腿内側, 時に股関節部の疼痛を伴うことが多い1)-3). 閉鎖孔ヘルニア症例では嵌頓による腸閉塞で緊急手術が施行されることがほとんどであるが, 嵌頓と自然整復を繰り返す例も報告されている4)5). 今回, 繰り返す股関節部痛を脊椎の変形性病変に伴う神経痛として長期間加療された閉鎖孔ヘルニアの症例を経験したため文献的考察を加え報告する II 症例 症例:84歳, 女性. 主訴:腹痛, 嘔吐. 既往歴:左下肢神経痛, 変形性膝関節症, 変形性脊椎症の治療歴あり. 高血圧症で加療中. 分娩歴2回. 現病歴:平成16年4月11日より腹痛が出現し, 12日夕方には嘔吐が出現した. 症状が持続するため13日当院内科を受診し, 腸閉塞の診断で手術目的に外科に入院した.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.55.11