Laryngoceleの1症例

「はじめに」 Laryngoceleは喉頭室の喉頭小嚢が拡大し, 気嚢胞を呈したものと考えられており, 欧米では300例以上の報告があるが本邦での報告は少ない. その理由として, 喉頭小嚢の形態的な違いを指摘する報告がある1). しかし喉頭小嚢に関して検討を加えた国内の論文はわずかであり, 日本人の喉頭小嚢の形態についての詳細は不明である. 今回我々はLaryngocele症例を経験する機会を得た. そこで, その症例を呈示するとともに, 日本人の喉頭小嚢の形態的特徴を明確にすることを目的として, 摘出喉頭標本を用いて喉頭小嚢の形態を観察した. これらの結果からLaryngoceleの成因につ...

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Published in喉頭 Vol. 8; no. 2; pp. 155 - 159
Main Authors 高原, 幹, 小林, 吉史, 林, 浩, 野中, 聡, 川堀, 眞一, 海野, 徳二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 1996
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Summary:「はじめに」 Laryngoceleは喉頭室の喉頭小嚢が拡大し, 気嚢胞を呈したものと考えられており, 欧米では300例以上の報告があるが本邦での報告は少ない. その理由として, 喉頭小嚢の形態的な違いを指摘する報告がある1). しかし喉頭小嚢に関して検討を加えた国内の論文はわずかであり, 日本人の喉頭小嚢の形態についての詳細は不明である. 今回我々はLaryngocele症例を経験する機会を得た. そこで, その症例を呈示するとともに, 日本人の喉頭小嚢の形態的特徴を明確にすることを目的として, 摘出喉頭標本を用いて喉頭小嚢の形態を観察した. これらの結果からLaryngoceleの成因について考察した. 「1.症例の呈示」 症例:50歳, 男性 職業:運送業 主訴:右下顎下方の腫脹 現病歴:1995年1月3日, 右下顎下方付近の頸部腫脹と軽度の発熱を自覚した. 翌日に腫脹が増大したため近医耳鼻咽喉科を受診し右下顎角より約1cm下方に母指頭大, 表面平滑, 弾性軟の腫瘤を指摘された.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx1989.8.2_155